ドラッグデリバリーシステムに関する研究

  皆さんこんにちは、えんぴつです。独学で頑張っている皆さんは、「どんな知識を覚えたほうが良い」という指示を予備校からもらえないと思うので、この記事で効率よく近頃の基礎医学研究の状況を把握してもらえればいいなあ、と思ってます。

 さてさて、今回もnature medicineから記事を一つ紹介します。医学系のネタはこのジャーナルから引っ張ってくることが多くなりそうです。興味深い記事が沢山載っていてわくわくします((o(´∀`)o))ワクワク。タイトルは、「がんへの効率のよい薬剤送達に道を開く通路」です。医学部の編入によく出る癌関係の研究です。抑えておいて損はないでしょう。

予備知識

 ところでみなさん、ドラッグデリバリーシステムって知っていますか?最近活発に研究されている分野です。今回の記事は、このシステムに関する研究を題材にしています。

 薬にはいろいろなタイプがありますが、血液に乗って全身にまわり病変部を攻撃するものが大半でしょう。ところが、薬剤が全身に回ることで濃度が薄まるため、病変部にきちんと作用させるには、一定濃度以上の薬を使用しなくてはなりません。当然、その薬の病変部に対する特異性が低ければ低いほど、癌細胞以外にも作用してしまい、副作用として現れるわけです。抗癌剤で髪が抜けたり、体がだるくなったり、吐き気がしたりという症状は、薬の非特異的作用により正常組織がダメージを受けることで起こります。

 ドラッグデリバリーシステムは、薬を病変部に特異的に作用させるために開発されている技術です。病変部特異的な構造に着目し、薬が特異的に作用するように工夫するのです。これにより、従来よりも低濃度の薬剤で治療を行うことができるようになるかもしれません。そうすれば、当然副作用は少なく、患者の体に優しい治療が施せるようになります。

 次にアネキシンについて説明します。これは、リン脂質に結合するタンパク質です。このタンパクファミリーの中には、リン脂質の中でもホスファチジルセリンに対して特異的に結合するものが存在するそうです。ちなみに、ホスファチジルセリンは通常細胞の脂質二重層では内面に存在するそうで、外にはほとんどないそうです。しかし、アポトーシス初期の細胞においては、これが外側に出ているそうです。このため、マクロファージが特異的に認識しているのではないかと言われています。

 最後に、本題に出てくる脈管構造についてですが、これは癌細胞による血管新生で作り出された毛細血管を指していると思われます。血管新生についてはネットに出てるので調べてみてください。

本題

 ドラッグ・デリバリー・システムについてある程度説明したので、今回の記事の本題に移ります。本研究では、ヒトと齧歯類の腫瘍における脈管構造に存在する輸送小胞だけに、アネキシンA1と呼ばれる膜結合タンパク質が高濃度で存在することを見出しました。そして、実際にアネキシンA1に特異的に結合する薬剤を設計し実験した結果、濃度勾配に逆らって薬剤の取り込みが行われたとのことです。

 詳細な研究内容等については、残念ながら現在電子ジャーナルを読める状況ではないため、後日確認出来たら詳細を書こうと思います。すみません(´・ω・`)。

 ドラッグデリバリーシステム、早く完成してくれるといいですね!抗癌剤の投与による副作用は深刻なものが多いので、できるだけこれが少なくなるよう祈るばかりです。

 ただ、癌は様々な異常細胞の集団であるため、癌特異的な構造を見つけにくいとされています。医学部の編入試験対策用問題集でもよく出る、「がん幹細胞」とか「多段階発がん」とかを調べてみると理由がわかります。(医学部編入への 生命科学演習にも出ているはずです。)

 現在まで手に入っている情報では、副作用がどの程度出たか等はわかりません。ただ、この方法だと、それぞれ構造の違う癌細胞一つ一つを相手にしなくて良いかもしれないですね(今回ターゲットとしているのは癌細胞ではなく、癌細胞の血管新生によって作られた脈管構造であるため)。そういった意味では、癌細胞特異的な構造を探っていた今までの癌研究とはアプローチの方法が違って面白いですね(^^)。

 今回はこの辺で終わりにします。次回も何か癌関係で記事を書きたいと思います。独学で医学部を目指している方に読んでいただければ幸いです。最後までご覧頂きありがとうございました。

 

 

出典元   大日本住友製薬  すこやかコンパス  ドラッグ・デリバリー・システムに関するページより
URL       http://www.ds-pharma.co.jp/sukoyaka/conclusion/technology/dds/
出典元   MBL ライフサイエンス  Annexin V Assay Kitsのページより
URL       http://ruo.mbl.co.jp/bio/product/apoptosis/annexin.html
出典元   nature medicine 注目のハイライトより   
URL       http://www.natureasia.com/ja-jp/nm/pr-highlights/9400

 

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