みなさんこんにちは、えんぴつです。自分の勉強も兼ねて現在の基礎医学研究で話題になってそうなテーマかつ、編入テストにも出せそうなものについて紹介していきます。
今回は、Nature Medicineより、血友病のRNA治療についてのトピックです。
ざっくりと予備知識
まず、血友病についてざっくり説明します。血友病とは、血液を凝固させる遺伝子に異常が生じた結果、血液凝固能力が低下する病気です。例えば包丁などで手を切ってしまった時、通常は1-2分で固まると思います。しかし、血友病の人は固まるのに非常に時間がかかります。
ニコライ二世の皇太子が血友病だった話は結構有名です。詳しく知りたい方はググってください。また、血液凝固の知識は、本サイトでも紹介した休み時間の免疫学にも載っているので、ぜひ読んでみてください。
血液凝固系について、良さそうな図があったので拝借してきました。
本題
さて、本題に移ります。この研究ではALN-AT3という治療薬を設計し、マウスに投与しています。この治療薬はRNA干渉法を利用して作られています。この治療薬は、アンチトロンビンのmRNAに対して作用し、その量を減少させます。アンチトロンビンとは、血液凝固因子であるトロンビンを抑制する物質です。抑制の抑制ということなので、ALN-AT3によってトロンビンは上昇します。その結果、血液凝固能が亢進するというわけです。一応図を作ってみました。
現在の血友病治療には、血液凝固因子そのものを外部から補充してやる治療が一般的だそうです。しかし、外部から補充すると後に抗体が出来てしまうそうで、そうなると補充した凝固因子の働きは低下してしまいます。今回のRNAiを利用した治療法は、前述の抗体が出来ても効果があったそうで、この病気に対する治療法としての期待されています。
いかがでしょうか。RNAiは編入レベルの問題集にもよく見かけるので、結構出やすい部分だと思います。現状の基礎医学研究がどこまで進んでいるかも合わせて覚えると記憶しやすいと思いますよ(^^)!それでは今日はこの辺で。
出典元:「Nature Medicine 注目のハイライト」より URL :http://www.natureasia.com/ja-jp/nm/pr-highlights/9852