みなさんこんにちは、えんぴつです。今回はサボリ気味の基礎医学ホットトピックを更新します(笑)。英語でアブスト読んだりするんですけど、英語能力が恐ろしく落ちていることに愕然としております(´・ω・`)。入学までになんとかしなければ…
すんません、独り言でした!nature communicationより「がんを標的とするナノ粒子を珪藻から作る」を紹介します。
前回紹介したドラッグ・デリバリー・システムと似てる?
実は前回紹介したドラッグ・デリバリー・システムとも通ずるものがあります。どこらへんかというと、「癌特異的に薬を作用させる事によって、正常細胞へのダメージを極力少なくことをを目的とした研究である」ってところです。このシステムについては以前も書いていますので、もし良かったらリンクよりアクセスして読んでみてください。
さて、今回の研究は「新しい画期的な治療法を開発しました」というよりは、「既存の治療法と根幹は似ていますが、より環境に優しい方法でできますよ」ということを報告しています。だから、着眼点の斬新さ、新規性という意味ではnature本誌ではきつかったのかな?と推測されます。あと、アブストを見る限りだと、実験サンプル数がもっと欲しかったのかなと(腫瘍を持つ4匹のマウスに対して実験したそうですが、若干少ないかもしれませんね)。それでも魅力的な研究であることに変わりは無いですけどね(^_^;)研究をかじっていた身としては「すごいなぁ」とただただ関心するばかりです。うう、論文全部読みたい。論文が自由に読めるって恵まれた環境だったんですね(T_T)。
※追記:nature communicationは現在open access、つまり誰でも読める状態になっています!英語の論文に飢えている方は是非(笑)!
ちなみに、今回は事前に説明が必要な知識はなさそうです。図を交えながら本題にて説明します。
早速本題に入ります
タイトルの通り、材料は珪藻です。珪藻は、
- 植物プランクトンの仲間で一次生産者に分類される
- 水と光がある所ならば、いろんなところに住んでいる。つまり生息範囲が広い。
- 地球上の酸素の25%を生産しているらしい(゚д゚)!
といった特徴があります。酸素25%って…こいつは驚いた(笑)。酸素を出してるって言うと、どうしても熱帯雨林とかその他の地上に生息する植物ってイメージですからね。珪藻侮りがたし!
このようにどこにでもいる珪藻ですが、この珪藻を利用出来ないかと考えたのがこの研究です。まず遺伝子組み換えをして、珪藻表面に癌特異的に結合する抗体と結合しやすいタンパク質を発現させます。つまりイメージ的にはこうですね。
次に、ここに癌特異的に結合する抗体をくっつけます。することこんな感じになります。
実際のタンパク質にどのように抗体が結合するかはわかりませんが、イメージ的にはあっているでしょう。そして、これに薬剤を吸収させてマウスに投与したそうです。
その結果、腫瘍が退縮、つまり小さくなりました。正常細胞にも影響はなかったとのことです。
薬剤を運ぶ殻を用意して、そこに癌特異的に結合する抗体を吸着させるというアイディアは既に出ていたようですが、この殻を珪藻の被殻で代用したというところが斬新ですよね(^^)!わざわざ1から殻を作り出すのではなく、どこにでも生存しているといわている珪藻を使えるならば、コストも低そうです。
いかがだったでしょうか。個人的にはとてもおもしろい研究だなぁと思いました。みなさんも編入とか再受験に向けて、今時代の先端をゆく医学研究に対してアンテナを張っているといいかもしれません。特に最近は医学部出身の研究者が少ないようで、基礎研究医志望の医学生は評価高いらしいですよ。もちろん、地域医療に貢献してほしい人材を中心に集めている地方の医療大学ではウケが悪いと思いますが…(^_^;)。
次回は再生医療関係の論文を紹介出来たらなぁと思っています。それでは今回はこの辺で失礼します!
出典元:「Nature Communication 注目のハイライト」より URL :https://www.natureasia.com/ja-jp/research/highlight/10322
出典元:「珪藻ってどんな生き物?」より URL :http://www.geocities.jp/restingspace2/MyBusiness/02/2-1.html